求人メディアのビジネスモデルの激変によって、求人サイトの編集者はどんなスキルが必要になったか。

古巣である52年間サービスが続いたアルバイトニュース「an」終了のニュースを読んで、この20年間で求人メディアのビジネスモデルがどう変わっていったのか、それにあわせて編集者はどんなスキルが必要になったのか、メモがてらに自分のアルバイト情報誌や転職情報サイトの編集執筆経験に照らして考えてみました。

ビジネスモデルの変化によって、必要なスキルも変化していく

以下、推敲せずに勢いで書いているのでおかしいと感じた部分があればのちに修正します。ご了承ください。

デジカメの普及で「95%情報、5%感情」の求人記事から職場の雰囲気が伝わる内容に変わっていった

1995年の大学1回生の頃は、大学の学生課に張り出されている求人票を見て求人に応募していました。無料で求人情報を受け取れて、同じ大学の学生と同じ職場で働ける可能性が高かったからです。

「運搬などの体力仕事 時給800円 梅田」のような今考えるとめっちゃ少ない情報を見て応募していました。大学の求人情報は関大のある阪急北千里線周辺や、梅田駅・十三駅などのターミナル駅周辺の情報が多く掲載されていましたが、地元京都の情報を探す際はコンビニや本屋に売っている関西全体の求人情報が網羅された二大求人紙のan関西版とフロムエー関西版のどちらかを200円で買っていました。当時は少年ジャンプと同じ値段でした。

大学への行き帰りで使う阪急西院駅付近で探していたので「立命、仏大生の多い職場です」といった職場の雰囲気が伝わるコピーが少しだけ情報に含まれていました。のちにデジタルカメラが普及するとアルバイトしている人たちが楽しそうに働いている姿が映し出されるようになりました。これは転職情報も同じだったと思います。スペックだけはわからない、職場の雰囲気を求人情報上で伝えることが大事な時代になりました。

1998年の大学4回生の頃にan編集部で編集補助のアルバイトをはじめ、求人情報以外のページに面接前に知りたいことを店長に聞くインタビューページなど、働く前の心構えなどを伝えるページをつくっていました。

刺さるコピーを開発し、これまで分業していた仕事を兼任するようになっていった

1999年、NTTドコモのiモード(インターネットにつながるケータイ)の出現で一気に求人誌のビジネスモデルがチェンジします。ウェブで求人情報を探す時代になり、紙とウェブのハイブリッドだったものの、紙はどんどん売れなくなっていきました。売れないので紙媒体はフリーペーパーに変化していきます。

応募者がどれぐらいいたかの情報集計は営業アシスタントの仕事ではなくウェブのアクセス解析ツールで事足りるようになっていきました。パートナー企業から印刷所が消えていきます。経営陣が求人サイトのコストをかける箇所は求人情報の探しやすさなどウェブのインターフェイスの開発にお金をかけるようになりました。また、職場の雰囲気の表現方法も写真だけでなく、動画を使う媒体も出てきました。

どういうコピーが求職者に刺さるのか。アクセス解析から導き出された読者の反応も意識しながら刺さる見出しの構成を意識するようになっていきました。

転職情報サイトの求人記事をつくっていた頃は、コスト削減からコピーライター兼ディレクター兼ちょっとだけデザイナーという働き方で、すべて分業していては外注費が支払えない状態になり、求人営業も転職経験のないような20代の若い人たちになっていきました。

求人はストーリー重視。深くまで掘り下げるインタビュースキルが必要になった

2011年の東日本大震災前後から、働いている人の生き方やストーリーを伝える日本仕事百貨のような求人メディアが出てきました。旧来のメディアとストーリーで伝えるメディアと採用側が入稿原稿を入れるタイプのロボット型のサイトなど、種類が増えたように思います。

ストーリーを伝えようとするとどうしても文章が長くなります。4000文字前後の文章を書いても最後まで読んでもらうための工夫、構成を考えるスキルが必要になり、写真の配置も最後まで読んでもらうために重要な要素となりました。

また、これまで刺さっていたであろうコピーもストーリーのある本文がなければ浅く感じるようになりました。初めて会った人から人生のターニングポイントを引き出すインタビューのスキルがますます重要となっていきました。

求人市場の把握

メディアが乱立してくると、今度は経験の浅い営業担当や編集者、ライター、カメラマンが増えていきます。求人市場の理解や法律の知識が浅いと、企業の人事担当者がほしい情報を提供できなくなり、編集者が営業の役割を一部兼任するようになりました。

情報発信のチャンネル強化とコミュニティの強化

2008年以降、スマホの普及とともに公式SNSメディアが重要になってきます。ただただ見出しとリンクだけを発信するような公式SNSは閲覧率が低くなり、中の人の体温が感じられる情報発信が求められるようになりました。同時に書き手の発信力も重視されるようになりました。

求人情報そのもののコンテンツだけでなく、求職者のコミュニティを強化していかないと博打になるため、情報がほしいフォロワーとメディアの担当者が知り合うきっかけとなるイベントや会合が増えていきました。

求人メディアの「中の人」の見える化

2013年に採用ツールとして広がったビジネス特化型SNSのLinkedIn(リンクトイン)やウォンテドリーの登場から中で働く人が求人サイトのインタビュー記事以外でも事前に見えるようになりました。事前に見える状況が生まれると、事前に見えてこない職場が求職者に選ばれにくくなってきました。

同時に、メディアで求人情報を発信している側の編集者も顔や人物像が可視化されないと選ばれにくくなった気がしています。誰が書いたかわからない人の文章よりも、誰が書いたかわかる人のほうが受け入れられやすくなったと感じます。

今後どんなスキルが必要か

こうした時代の変化で求人メディアの編集者が次に必要なスキルは何でしょうか。

狩野は文化の橋渡しとなるような翻訳スキルではなかろうかと考えています。将来日本に人手が足りなくなって、海外からの労働力が必要になってくると海外で日本の求人を日本の求人サイトから探して直接日本にやってくる状況が生まれるのではないでしょうか。求人サイトが現地の言葉で閲覧できて、届いたメールが日本語に翻訳されて読めれば簡単な気がします。

FacebookやInstagram、Twitterの投稿ポストにはすでに簡易な翻訳機能がついているので、メールのやりとりで企業とマッチングは将来簡単になり、アジアで普及しているLINEペイなどで賃金を払うようなことになれば、海外と日本の間に立って情報の非対称性を解消していく編集作業の役割を担う気がします。

ちょっと飛躍したほうが面白いかなと思ってこんなことを考えてみましたが、本当に大事なことは現時点で3000文字あるこんな長ったらしい文章でも最後まで読んでもらって、一言添えてシェアしたくなるような記事を提供することだと思っています。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする