ICT教育の現場に必要なのは、教師ではなくてファシリテーターでは?

取材でICT教育の現場に数校おじゃましました。見学した先がそうだっただけかもしれませんが、なんとなく若い先生のほうがうまくICTを活用していて、年配の先生はあまり上手に活用できていないと感じました。

デジタル機器に疎いという話ではなくて、これまでの一方的に伝えるスタイルから、生徒の学ぶ力を引き出す授業の組み立てや、主体的に考え発表させる時間をつくるという新しいスタイルに慣れていない先生も多いのではと考えました。

日本のICT教育の現場。

文部科学省のページを見ると、ICT教育とはデジタル機器を積極的に活用した教育のことを言うようです。もっと言葉を添える必要はあると思いますがひとまず。

学びのイノベーション事業|文部科学省

facebookに取材の様子を投稿すると、デザインワークス・オンサイドの中根さんから現場周辺の方にはこんな意見もあるとコメントをいただきました。

アメリカの学校現場におけるIT導入の現状から見る日本の教育ICT導入に関する議論の特殊さ | こたえのない学校 | blog

私自身は教育ICTの専門家ではないのですが、アメリカで上記のような形でICTが取り入れられている状況を見ると、少々日本の現状に違和感というか、危機感を感じます。確実に先進各国からICT化に大幅に遅れてしまっていることもそうなのですが、子どもたちの「学び」の質的変化の話を置き去りにして、「全児童1人1台タブレット」のような話が先行しているようにも見えて、とても気になります。

主体的に考える力を身につけるアクティブ・ラーニングの一環でICTの導入があるようですが、以前、大阪都構想について考えるお話会をした際、知らず知らずほぼ同じアクティブ・ラーニングの手法を使って開催していました。

実際お話会をやってみると“先生(=その分野に詳しい人)は必要ないかもしれない。必要なのはファシリテーターだけ”と感じました。

シンガポールのICT教育の現場。

そんなことを考えていると2013年のワイアードの記事には「教師いらずのICT教育?」という見出しがついていました。

「未来の学校」と子どもの未来:シンガポール発・ICT教育の最前線| WIRED.jp

教師はすでに“知を授け与える存在”ではない。子どもたちが正しい方法で、正しい情報ソースにたどり着き、正しい解決を導くプロセスを見守る“ガイド役”へとその役目が変化しているのだ。この教師が新たに司ることとなった21世紀的役割を「ファシリテイター(Facilitator)」と呼んでいるが、文字通り、生徒の自立した学習スタイルをファシリテイト(=促進)する存在なのである。

オランダのICT教育の現場。

こちらの記事はオランダのICT教育の現場が読めます。

ICT教育は、教科書をタブレットPCに置き換えることじゃない。学校の「仕組み」や「言葉」から創り変える『スティーブ・ジョブズ・スクール』に行ってみた | 未来教育会議

ICTを活用し、学習内容や進度をモニタリングという見出しの文章に目を奪われました。

ひとりひとりの子どもの学習計画には、「TicTic」と呼ばれるスケジュール管理用のアプリが使われています。子ども用・保護者用・教員用があり、学校だけでなく、家庭学習も管理できます。

これは子どもは干渉されてたいへんやな…と思いつつ、きめ細やかな学びのサポートになりそうだとも感じました。

工業化社会型から情報化社会型へ。

こちらのTime to knowはイスラエルのスタートアップ企業です。

T2K: a Paradigm Shift in K-12 Education from Time To Know on Vimeo.

以下の記事によればTime To Knowは、

ある一人の男のビジョンから生まれた。それは、これまでの19世紀型の学校の授業を、一挙に21世紀型に変えることだ。

と紹介されています。

学校の授業を19世紀(工業化社会)型から21世紀(情報化社会)型に変えてしまうTime To Know

Time To Knowは、今学校で行われている授業は工業化社会の時代に設計されたものだ、と考える。教師が教室の前面に立つ。壁に黒板があり児童生徒は机に向かっている。1800年代の教師がタイムワープして2010年の教室に降り立ったら、どうなるか? 彼女は自分の授業スタイルをまったく変えることなく、すぐに授業を開始できるだろう。考えてみれば、それは実におそろしいことである。

ICTを活用していくと教科の専門的な知識よりも、それらの状況を使って生徒をどうコーチングしていくのか、そんなファシリテートスキルのほうが重視される未来がやってくることがわかりました。なんとなく頭の中やevernote上でバラバラにメモしていたことが、現場を見たことによって多面的に理解できるようになってきました。整理する良い機会なのでメモしておこうと思います。