ゲストハウスで考えるLGBT

 LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー、それぞれの英語の頭文字からとったセクシャルマイノリティの総称)という単語を普段の生活で耳にするようになって、数年が経つ。

 自分が実際にそういうセクシャルマイノリティのひとに接した記憶を遡ってみると、カナダに住んで居た20年ほど前、通称 “ゲイストリート” と呼ばれていたエリアに住んでいた。町を歩けば男性同士が道端でチュッチュしているのもよく目にしたし、海外では友だちの家に行けば女性同志のカップルも居た。「そういうもの」と自然に感じていた。

ゲストハウスにはいろんなひとが来る

 ゲストハウス経営で、「簡単に排除しない」ということを肝に銘じている。そもそもゲストハウスとは日常生活では出会わないような人たちとの一期一会を楽しみながら世の中の広さを感じられる場所だと思っているので、「気が合わない」とか、「宗教が違う」だとか、「年齢がどう」とか、そいういう理由で宿泊者を排除してしまうと、ゲストハウスは気心しれた「いつもの」仲間だけになってしまい、面白くない(バリアフリーではまったくないので、車椅子の方などお断りせざるを得ない状況もあるんだけれども)。

 ということで、セクシャルマイノリティの方がいらっしゃるのも、自然な流れだし、そういう方と出会い友だちになることであたらしい世界を知れる。そんなふうに思う一方で、こちらのシュミレーションは足りていない。そんなことを痛感させられるゲストが先日宿泊に来られた。

心は女性、体は男性の方は女子ドミに泊まれるか

 予約は海外の方の名前で、女性専用相部屋に2名。チェックイン時に顔を合わせるわけだけれど、出立ちはいかにも女性の雰囲気を纏っている(正直、ジーパンにTシャツ、スニーカーにキャップ姿の私よりも、よっぽどフェミニンな感じを漂わせている(こう書いていて、「フェミニン / 女性的」とはなんだと、さらに頭を悩ませる)。
 
 そんな二人の女性だが、うちおひとりがマスクを外すとヒゲが覗いた。声も男性的に低い。あぁ、そうなのか。

 このパターンで男女混合相部屋に予約していたとすれば、なんの問題もなかったのだけれど、女性専用相部屋の予約。つまり、心が女性のこの方は、男女混合相部屋ではなく、女性専用相部屋に泊まりたいという意志をもって予約されている。

今回は問題なく

 今回は女性専用相部屋に同室の他のゲスト(幸い長期滞在の方だった)の快諾をいただいたし、同行のお友だちも同室にいらっしゃったりだったので、そのまま何事もなかったように女性専用相部屋に宿泊いただき、翌日にはご機嫌に出発された。

 前述の通り、いろんなひとに対して開かれている宿でありたいと思っているし、個人的には相手が男性でも女性でも、セクシャルマイノリティの方でも、その性を超えた人間としてどうコミュニケーションをとってゆくかだと思っている。一方で宿主としてこう言った案件にどう対応してゆくべきかは悩ましいなと思っている。

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