旅の仕方

 ここのところゲストハウス周りの旅の仕方がどんどん変化しているのを感じるので、備忘録的に。

 <共有PCは、死語か>
 日本で初代iPhoneが発売されたのが2007年のことだそうです。1166バックパッカーズは2010年に開業なのですが、開業当初は自分のデバイスを持って旅をする人はそれほど多くありませんでした。当時のゲストハウスには貸し出し用のPCがあるのがデフォルトだったと思います。1166バックパッカーズでも貸し出し用のPCは毎日のように使われ(時々、待ち時間がでることもあった)、日本人・外国人問わず旅先で撮った写真をメモリやブログにアップロードしたり、メールを送信したりに使われていました。次の旅先を決める手段も今のように各ゲストがインスタやサイトを見て自身のデバイスでOTA(Hostelworld.com やBooking.com のようなオンライントラベルエージェンシー)経由で予約をするというよりも、館内にあるフライヤーで選び、我々が電話で代理予約をする毎日でした。

<東日本大震災後に、シェアの価値が上がる>
 2011年に起こった東日本大震災。それまではシェアという概念は「安かろう悪かろう」だった部分が大きいと思いますが、震災をきっかけにコミュニティという側面でシェアの必要性が認識され始めました。ゲストハウス業界でも震災を前後して、東京のtoco.さんやNui.さんのような「おしゃれだけど安い」ゲストハウスが出てき始めたころです。

<海外系OTAの変化>
 開業当初は海外ゲストの予約はほとんどがHostelworld.com経由でしたが、2013年ころからかBooking.comも伸び出し、いつのまにか逆転。国内の旅行者はじゃらん、楽天経由がメジャーでしたが、Booking.com経由の日本人旅行者も増え始めました。

<エアビー>
 日本でエアビーがサービスを開始したのは2014年のことだそうです。ちょうどインバウンド(海外から日本への旅行)がぐぐんと伸びている真っ最中。その後、2018年に民泊新法が施行しシステムが整ってきました。

<インスタ>
 2016年ころからか「インスタで見て泊まりにきました」、なんて人が出てきはじめました。いまだについていけない部分ではありますが、それでも必要性は理解しているし、スタッフたちも楽しく投稿してくれています。

<コロナ禍での旅>
 この辺りは記憶に新しいというか、現在進行形の話ではありますが、和歌山のゲストハウスWhyKumanoさんが「オンライン宿泊」という革命的な宿泊形態を打ち出しました。また、北海道のシャケバイ(北海道におけるシャケ加工場の季節労働)から南下して、沖縄でサトウキビの製糖バイトをすれば、一年を通して日本列島を働きながら旅できる、なんて話は昔からありましたが、最近はそんな土地土地の季節労働をプラットフォーム化した『おてつたび』を利用し旅する面々とよく顔を合わします。総務省のふるさとワーキングホリデー制度(これはコロナ禍前からだが)も似たようなニーズでしょう。

<最後に>
 たかが十数年の営業ですら、旅の仕方に変化を感じます。これからの旅はまたきっと変化してゆくのだろうけれど、どちらにせよリアルな旅のニーズは無くならないと思います。いくら綺麗な写真がインスタで見られようとも、いくら世界各国の情報をネットで検索できようとも、実際に旅に出てこそ肌で感じる体験がある。旅に出るまでの計画、パッキング、移動中に考えること、旅先での出会い、そういったものの価値は(仕方はどうであれ)これからも揺るがない、と願っています。

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