福袋の失敗
自分はメンタルが弱い。自分は、といったけれど、人のメンタルの強弱はよく知らないので、人と比べてというわけではないんだけれども、やはり失敗だとか、失敗のようなものをすると、落ち込む。失敗のようなもの、というのは、成功ではなかったものの多くがここに含まれている。「よかったよ!」とリアルに言われない限り、「失敗のようなもの」にカテゴライズされることが多く、(勝手に)落ち込むわけなんだけれど、これもメンタルの弱さからきているのだと思う。
今、メンタルで落ちている理由は、1166バックパッカーズで発送した福袋の内容が「お得感がなくて残念」とお言葉を頂いたからだ。無念…。
福袋のアンケート
ちょっと福袋の話をしてみる。1166バックパッカーズではオンラインストアで、福袋を販売している。内容は決まっていない。3000円、5000円、10000円と3種あり(いづれも送料込み)、支払いを済まされた購入者宛に、私がアンケートのようなメールを送る。そこには10問弱の質問事項が記載される。その一例として
福袋は誰と開けますか?
携帯の写真フォルダを開けて、思い出深い写真3枚を教えてください
学生時代の部活は?
無人島に3つだけ持っていけるとすれば何を持ってゆきますか?
長野市に引っ越しが決まりました。何から準備を始めますか?
そんな質問だ。そして、聞くだけではなく、私も回答の例文を書く。(これは、ただ、ハイ・イイエのような淡白な回答ではなく、このくらいボリュウムある回答してくださいよ、という指針にもなると思っている。)飯室の回答例はこんな感じ。
福袋は誰と開けますか?
携帯の写真フォルダを開けて、思い出深い写真3枚を教えてください
学生時代の部活は?
無人島に3つだけ持っていけるとすれば何を持ってゆきますか?
長野市に引っ越しが決まりました。何から準備を始めますか?
旦那と子供(5歳女児)が寝ている間にひとりでこっそりと
子供の誕生日に取った手作りのケーキのろうそくを吹き消す写真
宿のお客さんと玄関先で撮った記念写真
先日購入した山二鳥さんの山の形の刺繍ブローチ
小学校は一輪車部活、伝承遊び部、(なぜか)マジック部。中・高・大はテニス部。
深入りの珈琲を入れたタンブラー
読みかけの大橋歩さんの『鉛筆の先っちょ』という本
肌触りの良いブランケット
美味しい珈琲とタルト(チーズケーキでも良い)のある、テラス席のある喫茶店を探す。
こういった具合だ。1の質問で、家族で開ける、職場のひとと開けるなどあれば、みなで楽しめる食品などを入れることが多い。他の質問では興味、好きなものを想像する。例えば、本を読むひとだなだとか、珈琲を飲む人だなだとか、登山が好きなのか…など。リサーチはまだ続く。文体から感じとられる年齢、改行や絵文字の有無からPCを日常的に使うのか携帯派なのかを想像したり、以前泊まられたことがあれば宿泊履歴からアイデアを得ることもある。
福袋、中身を決める
リサーチが終わってからは中身の予算を考える。オンラインストアでの購入の際はストアの手数料がかかる。1166bpで使っているBASEの場合はおおよそ購入価格の6.6%+40円。つまり3000円の商品であれば、238円。そして送料。クリックポストで遅れる場合は198円だが、大きいものになれば送料も1000円近くかかる。加えて梱包材もバカにならない。ここまでで3000円の商品をクリックポストで送る場合は、500円ほどの経費がかかる。
そして中身を考える。これまで入れたものとしては、焼き菓子、味噌、コーヒー、紅茶、詩集、アクセサリー、ポーチ、ポストカード、文房具、書籍、食器、玩具などなど。基本的には門前のお店を周り購入する。
やはり商売であるので、少しばかり1166バックパッカーズの利益もいただきたい。宿のオリジナル商品を入れればそこにすでに利益が少しばかり乗っているので、そこで調整したいところだけれど、すでにお持ちだったり、持っているものがわからないなどの理由で入れられない場合もある。その場合、例えば500円の利益をいただくとすると、3000円で購入くださった方に、2000円のものを送ることになってしまう。これではお得感は、ない。
どう、お得感を出すか
(ここからは勝手なこちらの妄想なのだけれど、)ではどこでお得感を出すか。それはエンターテイメント性だと思っている。まず、購入してアンケートが届く面白さ。回答してゆくなかで、「あ、自分はこんな人間だったな」なんて振り返りを楽しんでいただきたい。そして何が入っているかわからないものを待つワクワクした時間。届いた際に、梱包自体も可愛くあってほしいので、宿のオリジナルのマスキングテープやトラネコボンボンさんの可愛いガムテープを使用する。箱を開封したときの見え方も気にする。一番前に納品書があればテンションも落ちるので、納品書は入れないか一番後ろが定位置。アンケートからこう想像したのか、とさらなる想像を楽しんでいただく。宿で余剰している古本で好みに合いそうなものや、料理好きな人には料理好きスタッフの手書きレシピを入れたりもする。長野らしいフリーペーパーや古き良き未来地図、お手紙はいつも同封される。どうしてこれを選んだか、という内容を動画で撮りyoutubeにアップしてQRコードを同封する、なんてことも時々する。
我々にできるのは、丁寧にあなたのことを考えて、こちらもワクワク楽しみながら中身を決めましたよ、という部分だと思う。
凹んだ、そしてどうするか
前置きが長くなった。メンタルの話。そんな風にこちらとしては楽しく丁寧に選んだつもりだったが、前述した通り、今回の福袋(3000円)は購入くださった方から「お得感がなかって残念」と連絡を頂いたのだ。ご購入くださった方はそう書いているが、それはきっと内容の価格の問題ではなく、私がその方のストライクゾーンにボールを投げられなかったのが敗因だろう。想像に費やす時間が足りなかったのか、完全な外れだったのか。考えれば、もっともっと丁寧にできたことだらけだ。これまで、けっこうな割合で福袋リピート購入をしていただいたり、「ドストライクでした!」というメッセージをいただくことが多かっただけに、自分の至らなさに凹んでいる。
さて、凹んだ気持ちをどうしよう、と考えた。「そういうこともあるよね」と、この凹んだ気持ちをただ、なかったことにするのか? いやいや、こっちは精一杯やったのだ、と開き直るのか。どちらも違うと思った。まずは購入くださった方にメッセージを送った。ストライクゾーンど真ん中に投げられずにすみません、と。泊まりに来てくださる日があれば、良き情報たくさん準備して、今回の挽回をしますね、と。
失敗から学ぶこと
購入くださった方には失礼かもしれないが、こういった失敗があってこそ、それが経験値になってゆくようにも思う。新しく働くスタッフにいつも、「宿泊のお客さんが来られたときに、この人はどうして長野市に来られたんだろう、何が好きだろうと想像してください」と伝えている。そしてその想像をベースにスタッフの手持ちのカードを切ってゆく。もしかしたらその切ったカードが的外れかもしれないけれど、無意識で盲目的に接客するのとは格段に違う。たとえ失敗したとしても経験値が蓄積される。まさに今の自分にこの言葉を向けたい。
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