海外勢との日々を思い出す
ここのところ海外勢を迎えることもなくなり、ある意味スムースな、でも寂しい日々です。海外勢の宿泊はもともと4割ほどでした。彼らがいると、我々の当たり前は当たり前でなかった。
靴を履いたままラウンジに上がられることはしょっちゅうで、入ったばかりのスタッフたちだと血相を変えて「ダメダメ!」とつい言うてしまう。でも彼らは全くもって悪気はない。ゆえに玄関先で「ダメダメ!」で滞在が始まってしまうと、しゅん…としてしまう。もちろん「ダメダメ!」と言っちゃう新スタッフにも悪気はないのだから、またやっかい。そんな時に覚えた英語が、" Could you leave your shoes by the door? (靴、扉の近くに置いておいてもらえますか?)" というもの。そのフレーズの方が、お互いに優しい。
海外勢にとって、交通機関も謎だらけ。新幹線なのか、JRの在来線なのか、私鉄なのか、バスなのか。乗り換えのタイミング、支払いのタイミング…。彼らからしたら、ハァ…とため息ものだろう。だからこそ、こちらは諦めずに、それぞれのニーズにあった移動を提案したい。そのためには日本人のゲスト以上にしっかりとしたヒアリングが必要になる(例えば、以前「温泉に行きたい!」というモチベーションで、長野市の1166バックパッカーズから日帰りで、県をまたいだ温泉街に行こうとしていたゲストがいた。片道3時間強。えっと…温泉だったら長野にもいくらでもあるよ、と案内して、最終的には徒歩で温泉にゆきたいそう満足して帰ってきた。空いた時間は戸隠に、なんてことも 。もちろんこちらの意見を通すわけではなく、相手が何をしたいのか、旅全体の日数や日本でやりたいこと、行きたいことを総合的に聞いて、ひとつの意見としてお話しする)。
年末年始を共に過ごしたタイから来たファミリーには、全員分のおみくじの翻訳をお願いされた(超適当ではあるが、答えた)。会話のなかで、タイのお父さんの名前の音が、1166に近かったから縁を感じてうちに宿泊したなんて話が聞けた。
そういう、我々の当たり前が当たり前ではない方々との触れ合いは、凝り固まった思考をほぐし、また彼らの当たり前を聞くことで、彼らの暮らしを垣間見ることができる。
コロナ禍中で仕方がないと言ったらそれまでかもしれないが、この2年を小さな世界のなかで暮らしているということは、なかなか大きな痛手なはず。あの頃は楽しかったなぁ、というメランコリーな気持ちもあるが、閉じた扉は必ず開く。それを信じて、また日本人と海外勢とごちゃ混ぜになって楽しめる日が戻ってくるのを待とう。
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