「解像度が上がる」は悪いこともある

 ゲストハウスを初めて13年目。ときどき立ち止まって考えるのは、”やらないことを増やす” ということ。

引っ越し4ヶ月で宿を開業

 私は2010年10月に長野市にて1166バックパッカーズを開業したわけだが、その4ヶ月前までは違う土地に住んでいた。長野市は修学旅行などで来たことはあったが、住んだことはなく土地勘もなかった。流れにちょうど乗るような形で、引っ越しから4ヶ月の間に物件を見つけて、許可を取り、スムースに開業に至ったわけではあるけれど、裏を返せば準備期間は短く手探りで始めた。

2010年6月に長野市に引っ越し。同月中に物件が見つかり、9月に賃貸契約・工事、10月に開業。

始めたはいいが、知識がない

 宿をハブとして周辺観光の案内がゲストハウス運営では必須のスキルになってくるが、そのころは戸隠も小布施も志賀高原も湯田中も、ほとんど知識がなかった。貸し出し用のパソコンを宿で用意はしていたものの、いざ使いたいと言われたらあたふたしながら準備するもので、30分以上待たせたこともあった。食事のことを聞かれても数少ない知り合いの店舗をルーティンのように紹介するだけになっていたこともあった。

開業数日前の夜。ほぼ営業できる状態になっている。スタッフはなし、チームひとり。

経験値が上がり、解像度も上がってきた

 そうこうしているなかで月日は流れ、お客さんが何に困りそうか、お客さんが何を聞きそうか、お客さんに何を案内したら喜んでもらえるか、経験による判断がよく働くようになった。つまり、ゲストハウスの運営に対しての解像度がどんどん上がっていった。

8周年(2018年)の周年祭、当時のスタッフとなぜか鹿の角を持って。

気になることが増えてゆくが…

 ただ一方で、いくらひとつひとつに対するスピードが上がったとはいえ、やることばかりが増えていくと、歪みが生じる。やることを増やした分、やらないことを決めてゆかないといけない。解像度が上がると、どんどん細かいところまで丁寧に、完璧に…と思うが、それは時に自分を苦しめてゆく(私の場合は、雇用しているスタッフも苦しめてしまう可能性もある)。そして、そんな細かい部分を完璧にしなくとも、目の前のお客さんは喜んでくれるのかもしれない。取捨の選択は慎重に行う必要があるが、”捨てる” つまり “やらない” という部分も作っていかないと、立ち行かなくなる。
 もっと肩の力を抜いて、やってゆきたい…ようにも思うこの頃…。

2022.12スタッフ研修旅行@小谷村大網のつちのいえ

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