コンシェルジュ的なひとがいれば

 どういうお客さんを受け入れてゆくか。これにはいろんな考え方があるが、最終的に行き着く答えは、どなたでも「ここに泊まりたい」と思って下さる人は受け入れたい。

 とはいえ、受け入れられないシチュエーションもある。例えば、日程的に空きがないだとか、チェックインの時間が深夜になるだとか、歩行が困難で2階の客室に上がれないだとか。そういう方々も受け入れたい気持ちはあるのだが、他のゲストやスタッフの勤務時間や宿の施設的が不十分だとかで、諦めざるを得ない。ただ、前述の通り、「ここに泊まりたい」と思って下さる人は受け入れたい。

 逆に考えると、「ここに泊まりたいわけではないけれど、仕方なく」という方にはできるだけその方にあった 他の選択肢をお伝えする。

 つい先日のこと。1本の電話をスタッフが受けた。聞くと、声の主は比較的年配の女性。御開帳を目的に、60〜70代の男女4名で旅行。善光寺に近い宿を探し、空きがあった1166バックパッカーズの男女混合相部屋に泊まりたいと。電話では空き状況確認だけだったが、最終的にはブッキングドットコム経由で予約が入った。

  余談だが、1166バックパッカーズには70代のリピーターさんも数名いる。先日は83歳の男性が元気にチェックインし、一期一会の同宿のメンバーや我々とたくさんおしゃべりをし、ドミトリーでぐっすり眠り、元気にチェックアウトされた。だから年齢云々というわけでもない。ただ、上の4名のゲストはちょっと気になった。

 ブッキングドットコム経由で事前決済。ある程度電話で宿のことも説明の上なので、おそらくこのまま行ってもクレームになることなく泊まっていただけるような気もしたけれど、うーん…と考え、電話で再度ヒアリングをする。やはり、「他の旅館・民宿がとれなかった」「全員ゲストハウスは初めて」「でもなんとかなると思います」と丁寧におっしゃる。

 一旦電話を切り、いくつか善光寺界隈の宿泊施設を当たると、1軒の旅館で4名1室・素泊まりで大してうちと料金が変わらない宿が空いていたので、先方に宿名と料金、連絡先を伝え、あとは判断してもらうことに。その後、最終的にはうちの予約をキャンセルし、その宿に切り替えることになった。

 考えると、自分は「宿屋」である前に「観光案内所」のような役割をしたいと思っている。その人の旅の仕方、何を目的とした、何を大切にした旅であるか、それを聞いて、その人にあったオプションを案内したい。そのなかで、「あ、あなたには1166バックパッカーズがおすすめですよ」と思う方にお泊りいただきたい。その方が宿の空気がよい。旅行者のためにもなると思う。

 一方でそういうコンシェルジュ的な役割をしている窓口は、キャッシュポイントが難しい。公的な観光案内所も当たり前なのかもしれないが、例えば宿を紹介してもらうには協賛金のようなものを払わないといけないし、いろんな利害関係が絡んでいる。各地にぽっと相談できて、「あ、ここおすすめですよ」なんて言ってくれる人がいたら、どんなに旅しやすいものだろうか…。

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