旅と忘れ物

 みなさんは旅先で忘れ物をしたことがあるだろうか。私はある。幼少期の旅行ではクラスのみんなに買ったはずの大量のご当地キットカットを宿の冷蔵庫に忘れて帰ったときは泣きそうになったし、100均で購入した充電器を忘れた際は諦めたにも関わらず宿屋さんのご好意で “着払い” で送られてきて、100均の充電器に600円ほどの送料を払った(悪いのは私だが、発送前にひとこと欲しかった…)。つい最近は財布やクレジットカード、免許証など全てが入ったポーチを忘れた(ちゃんと保管してくださっていた)。というわけで、旅と忘れ物、というのはいつだって隣同士で存在しているものだ、と思っている。

どんなものが日々忘れられてゆくか

 1166バックパッカーズにも、日々多くの物が持ち主のうっかりによって置き去りにされてゆく。これまで一番印象深かったのは、風呂場に「部分入れ歯」が忘れられたこと。持ち主は外国人。これは旅先で替えを購入することができない(そして旅先で美味しい食べ物を我慢しなければならない!)。ということで、連絡をとり次の宿泊地へ送った。
 急に晴れた日の朝は長傘の忘れ物も多くなる。ビニール傘であれば次の旅人へパスすればよいが、上品な女性ものの長傘を見つけたときは連絡の上、着払いでお送りした。
 幼少期の私のように、冷蔵庫に日本酒やスイーツなどお土産を忘れて帰る人もいる。自炊派は野菜やら果物やらパンやらを写真のようにごっそりキッチンに置き去りにしていることも(これはもう、置いていったという感じか…)。
 つい先日は貴重品ロッカーのなかにノートパソコンを忘れてチェックアウトし、後追いで同地域にゆくゲストが運んでくれた(もちろん本人たちの了承の上で)。今、カウンターの上にはゲストが忘れていった南部鉄器の風鈴と羽織がある。これも数日後にゲストの手元に到着する予定だ。

 ということで、ゲストを見送る際は(みんな滞在を振り返りながらお礼の言葉やら別れの言葉をにこやかに伝えてくるが)私はまずは事務的に、ときに呪文のように「ロッカーのなか、冷蔵庫のなか、傘、充電器さしっぱなし…大丈夫ですか…」と唱えている。

冷蔵庫のなかは発掘が遅れがち…。

忘れ物が見つかった場合どうするか

 宿屋の業務内容の話になるが、忘れ物が見つかった場合は、どこにあったかや内容物によって対応が変わる。基本的にはどんなものでもすぐに処分することはない。

 枕元のプラグに差した充電器のように持ち主がすぐにわかるものはピンポイントで本人に連絡をとるし、洗面所など共有部に忘れられたものはメールのBCCで一斉に写真を送ることもある。

 どの場合でも、所有者が見つかった場合は本人にどうしたいかを尋ねる。携帯充電器のような小さなものであれば(追跡ができないのを了承いただければ)宿で送料をもち普通郵便で送ることが多い。タオルなどで「破棄してください」と言われれば、洗濯しゲストが自由に使えるように脱衣所に置いたりする。下着の忘れ物も時々あるが困る。「あなたのですよね!」とピンポイントで連絡を取るのは失礼な気もするし、男性の下着の忘れ物を女性スタッフが連絡するのも(その逆も)気が引ける…。リピータの方などは「次に行く時までとっておいて」と言われることもあるが、正直なところそれは避けたい。というのも、そういった物品が増えるとストック場所に困るし、次来た際に忘れないでお渡しできるか自信もないから。

海外からのゲスト所有物。連絡が途切れたため発送できなくなった…
これは日本人ゲストだったので、ご自宅に普通郵便でお送りした

 あぁ、本当は忘れ物を見つける話を書きたかったんだけれど、長くなったので、それはまた次のブログで。

コメント

タイトルとURLをコピーしました