怒涛の締切ラッシュでパンク寸前の中、山納洋さんの著者「地域プロデュース、はじめの一歩」をゲット。目次をチラ読みするとグッと引き込まれ、本文を数行読むと山納さんの声で脳内再生されてヤバいです。はよ読みたい。さっさと仕事を片付けよう。
とInstagramに書いておりましたが、締切ラッシュは終わり、今、少しずつ読み進めています。
本書では山納さんが実施してきた数々のプロジェクトの事例をもとに、プロジェクトの立ち上げ方、盛り上げ方、続け方がたっぷり紹介されています。
読んでいる途中で行動に起こしたことがひとつ。
プロジェクトに大事なことは「なぜそれをしているのか」の背景を伝えること
17ページからはじまる「当たり前のアダムス」の話題の中で、山納さんは
僕もプロジェクトを立ち上げるときには、まず「Why(なぜ)を明記するようにしています。そこには時代背景、環境の変化、問題・課題の存在、そのことで誰かが感じているジレンマと、それを解消したいという思いを綴ります。するとその動機には、おのずと「Whom」が含まれてきます。
「誰にとっての、どんな問題を解決するのか」「誰に対して、どんな価値を提供するのか」そこを明確に書けば、その趣旨に賛同・共感いただいた人たちが集まってきます。そしてプロジェクトが動き出したあとも、ゴールに向かって正しく進んでいるかを検証するための羅針盤になります。
と記載しています。その文章を読んで、竹刀で頭を打たれた気分になりました。
弊社が運営する出張文化講座「サロン文化大学」では、何をしているかは書いているけれど、なぜそれをしているのかは書いているようで書いていませんでした。書いていたけど、消したかもしれません。それほど重要視していなかったのです。
読み始めた直後、マイプロジェクトを総点検した3つの理由
それではなぜ竹刀で頭を打たれた気分になったのでしょうか。理由は3つあります。
普段の仕事では当たり前にやっていることだった。
「なにをやっているのか」「なぜそれをやるのか」というストーリーはずっと携わっている求人広告をつくる際に気をつけていることだった。
例えば「はたらく」を面白くするビジネスSNS「Wantedly」などはまさに「なにをやっているのか」「なぜそれをやるのか」という項目があります。
本人から聞いていたことだった。
そもそも以前から本人が口にしているのを何度も聞いていました。ぜいたくにも本人から聞いていたはずなのに、自分のプロジェクトに背景を書いていなくて、恥ずかしくなりました。
参照
1冊目のコモンカフェの本にそれぞれのプロジェクトの「なぜそれをやるのか」が記載されています。
そもそも参加者からよく聞かれていた。
サロン文化大学に参加して興味をもってくださったお客様からよく聞かれていたことでした。
「最初から書いておけば良かった…」と後悔している時間はもったいないので、さっそく前から書いていたふりをして項目を付け足したのでした。
このように、「なんとなくプロジェクトをはじめてみたけれど、このままでいいのかな?」という僕のような人や、これから何かしらプロジェクトをはじめるという人に読んでもらうと、めっちゃ参考になると思います。
プロデューサーの仕事とは?
著書から引用すると、これから読む楽しみが減ってしまうかもしれないので、狩野が書いた記事の山納さんの発言をもとにプロデューサーの仕事のヒントを引き出してみます。
からの抜粋です。
プロデューサーという言葉にあまり馴染みがないと思うのですが、簡単に言いますと、舞台の上に立つ人と、客席のお客様の間に立つ裏方の仕事です。
演劇もアートでも音楽でも、実演者や演出家と呼ばれる、舞台の上に責任を持つ人たちが「えらい」という状況があります。制作は「このセリフを短くしたほうがいいのでは?」などと言える存在ではないんですね。でもお客さんからすると「ここ長すぎるでしょ」という気持ちがあって、そこを調整するのがプロデューサーの役割なんだと思います。
お客さんが何を求めているのか、お客さんの周波数って今どのあたりなのか、トライアンドエラーを重ねてその感度を上げていくのがプロデューサーの能力なのかなと思っています。
このあたりの思いが、実践をもとにわかりやすく紹介されています。
勤めながら、カフェ経営
特にすごいと感じるところは、著書ではさらっと書いてありますが、メビックに勤めながらカフェを経営したことです。
そのあたりはwebマガジンのコロカルでも山崎亮さんとの対談で触れられています。
メビックにいるときに気づいたのは、コンサルタントという肩書きのひとは、どうやら往々にして経営を単純な一次方程式で考え、指導するんだな、ということ。でも、実際の現場は三次方程式、四次方程式に向き合い、毎日傷ついたり蝕まれたりしているわけですから、悩みの次元が違う。予算や坪単価のはなしをされても「そのアドバイス、遠いなあ」と(笑)。「ここでつまずくから気をつけたほうがいい」というのは、やっぱり起業したひとにしかわからない、もしくは、起業しているひとに真摯にはなしを聞かなければわからないことなんです。
山納 タイミングとしてはまさに「今」ですね。先に話題に挙げた「入船食堂」も、80歳近い店主がどうにかこうにか続けている状況です。でも、まちや店が持っている物語を、ソーシャルキャピタルとしてきっちり次の時代に遺したい。もちろん、経営的に成り立たないものもあるので、本職を辞めない、助成金を得るなどの手段をとれることも大事かもしれません。
山崎 本職を辞めないでこれだけのことをやっている山納さんのはたらき方が、その最たるモデルですね。生活のための本業を持ちながら、余暇活動に近いカタチで社会貢献的にじぶんが楽しいと感じることをやっていたら、こういう状態になっていた。これって、すごくおもしろい生き方だと思います。
こちらは学芸カフェのインタビューページからの引用です。
カフェのオーナーもクリエイターも、ビジネスと自己表現の微妙なバランスのうえに自分の身を置こうとしているんだと思います。コンサルの人たちが、そういう微妙なバランスを知らずに「人気店になるには」といった感じの本を出すのはちょっと違うのかという気がしています。小商いであったり、地方であったり、いまの時代の関心の方向、生き方のバランスがあるんだと思いますね。
組織の中で働く人にとっての指南書でもある
想像ですが、組織の中で働いている人にとっての指南書にもなるとも思います。特に108ページからの「求められる仕事と自分がやるべき仕事を考えた時期」の章。
最後の一文、
どんな現場に行くことになっても自分のモチベーションは落とさない、落としたら負け
のところは静かに燃えているようで実は高熱の青い炎のような余韻があります。
まとめ
何かとりとめのない内容になってきました。この著書だけでは物足りないという方はひとまずWalkin’Aboutなどに参加してみるのが良いと思います。
“Walkin’About”は、参加したみんなが、思い思いのコースをたどっていただく“まちあるき”です。楽しみ方のコツは集合時間前に少しまちを歩き、その町で昼食をとりながら作戦をねることです。
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5/24木曜日夜、そんな山納洋さんをゲストに迎え、著書「地域プロデュース、はじめの一歩」出版パーティー的トーク企画を開催します。場所は大阪・中崎町 common cafeでネリさんのおいしいごはんありです。詳細はこちらをご覧ください。