スタッフの中で「誰が発信する?」と考えてひとりに絞るのは、もはやSNS以前の話。いかなる個人より全員のほうが賢いという答えがスタンダードな時代です。
ここではソーシャルメディアを使った情報発信のレクチャーで念頭に置いているものを整理しておきたいと思います。
情報発信で大事にしていることは、下記のビジネスモデルキャンバス(戦略を考える際に役に立つフレームワーク)で説明するとわかりやすいです。
画像はビジネスモデル・ジェネレーションより。
情報発信を通じて、お客様との関係を高めたい
ホームページやメールマガジン、フライヤー、フリーペーパーなど伝えたい情報が一方通行になりがちなチャネルを通じてお客様に伝わりますが、ソーシャルメディアは情報が双方向であるため、比較的お客様と仲良くなれるツールです。
いろいろ理屈を話す前に事例がこちら。
演劇など顔をあわせる数が増えると関わった人が応援がてらに情報発信しています。
ビジネスモデルキャンバスでいうと、顧客の中のファンが、キーパートナーとなり、自分のチャネル(ソーシャルメディア)を通じて情報を広げてくれます。
コミュニケーション(顧客との関係)の観点がないと、お客様との関係という軸が抜けやすい
公共施設はなぜか、直接お客様にお金をいただくビジネスではないからか、お客様との関係という観点を無視していることがあります。
例えば図書館。
入り口でスタッフの方と顔をあわせても「こんにちは」の一言もないことがあります。
文化芸術に関わる人も同じです。
「心に響く芸術作品をつくれば、必ず伝わる」
と考えて、お客様とのコミュニケーションを無視していると、求めていない一方的な情報がお客様のもとに届きます。
ちょうどこんな感じです。
これを減らすためにお客様とのコミュニケーションをつくっていきたいです。
このランチ、おいしいけれど男性にはごはんの量が少ないな…
お店が開いているかどうかわからない。看板を出せばいいのに…
時間がかかりますが、ソーシャルメディアはこの部分、お客様との関係強化にもっとも適したツールです。
(公共施設など、直接お客様からお金をもらわないビジネスモデル、顧客との関係というフレームが欠ける説。PR戦略を考える際に役立つフレームワークを見ながら考えると確かに欠けていることがわかる)
さまざまな年齢層に情報を届けたい
さける人員のリソースが限られた中で、さまざまな年齢層に情報を広げようと思うと、全員で発信するのがベターです。
狩野は広報担当者の役目はPR戦略を、理想的には組織のみんなと共有することだと考えています。
(人数が少ないと別の仕事と兼任されることが多いですが、ビジネスモデルキャンバスで考えると文化芸術の現場は良い作品をつくることにパワーがかかりすぎてバランスが悪いです)
いかなる個人より全員のほうが賢い
こちらはTEDのトークです。世界最大級のデザインコンサルタント会社、IDEO(アイディオ)の共同経営者トム・ケリー氏の言葉です。
うまくいっている組織やグループなど、ミッションを共有しているところはできない理由よりも、できる理由を探す方が多いです。
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いずみホール主催のアートマネジメント講座で講師をさせていただきます。今回のテーマは「ファンづくりのイロハ」。7/22にお話しする資料をこちらにまとめています。