Twitter公式アカウントのつぶやきが6万回リツイート! 姫路市文化センター職員Nさんに聞いた、情報発信の工夫

ファンづくりのイロハ(いずみホール主催)
文化施設に勤務されているSNSの担当者は、日々どんなことを思って情報発信しているのでしょうか。

アートマネジメント講座「ファンづくりのイロハ」でのトークに先駆けて、今回はTwitterのとあるつぶやきが「いいね88000件」「リツイート62000件」を叩き上げて話題となった、姫路市文化センター職員かつ同センターTwitterアカウント( @himejibunka )の中の人Nさんに、日々どんな工夫をされているのかうかがいました。

ソーシャルメディアの運用に関する質問

ーソーシャルメディアで発信するにあたって、組織内で何か目標とかルールとか決めていますか?

とにかく「ファンをつくる」「ホールの存在をアピールする」ことを目標にしております。ホールとしての「ブランド」が確立されているところはともかく、私ども姫路市文化センターは知名度、ブランド力がありませんので、まずは「姫路にはこんなホールがあるよ」ということを地元から全国まで広くアピールする必要性があります。

姫路市文化センターは閉館しました

有名なアーティストを呼べば来場者は増えますが、チケットを買って、コンサートを見て、終わり、となると、そのホールがどうだとかまではあまり印象に残りません。

でも、ホールのファン、そのホール自体に興味を持っていただければ、そこから次の段階へ進むことができるのではないかと考えています。

もちろん、前提として、興味を持ってもらえるような事業を企画していくことが重要であると思います。

ただ、いい催しをしているのに話題にならない、というのが私たちにとって一番さみしいことだと思いますので、そうならないように、日々広報力を磨いております。

ルールについては、運用方針を目下作成中です。八尾市プリズムホールさんのソーシャルメディア運用方針は、とてもわかりやすくよくできているなと参考にさせていただいております。

ー「NさんがTwitterをはじめませんか?」と言って組織内で初めて使ったのでしょうか。

そうです。新しい広報のやり方をはじめたいと上司に伝えた際は、どんどんやれという反応でした。無料でできるもんがあるんやったらそれはした方がいい。炎上には気をつけて、というぐらいです。

発信メディアの分担に関する質問

ーTwitterやfacebookページなど、組織内でどう分担し、どんなふうに運用されていますか? 参考にしたアカウントはありますか?

現在、姫路市文化センターでは事業担当者が6名で、そのうち2名が広報担当となっています。広報担当といっても、事業企画や実施など他にもいろいろ業務を行っていますので、それに専念しているわけではありません。

ただ、SNSの広報は今のところわたし一人で行っています。投稿をするうえで、決裁はとっておりません。ただ、話題になることを優先しすぎて、ネタありきのツイートをした結果、名のある企業でも大炎上することもありますので、投稿前に必ず内容を見直し、読み手がどう受け取るか、思わぬ受け取り方をするような内容になってないか、確認するようにしています。

ツイートするうえで参考にしているのは、有名な企業や、同じような公共ホール、博物館や美術館のアカウントです。タニタやシャープ、キングジムなどのツイートは目にされたこともあると思いますが、「広報」から「宣伝」へのつなげ方がとても上手です。ただ商品の宣伝をするのではなく、その日話題になっているトレンドワードを巧みに使い、商品の紹介につなげるといった手法は、私たちの広報にもそのまま利用できると思います。

ーfacebookページも活用されていますね。

そうですね。ただあんまりうまく活用できてないんです。広げ方に苦戦していますね。

Facebookにログイン
Facebookにログインして、友達や家族と写真や近況をシェアしましょう。

それと最近Instagramもはじめました。

Login • Instagram
Welcome back to Instagram. Sign in to check out what your friends, family & interests have been capturing & sharing arou...

Twitter、Facebookページ、Instagramはまとめて更新しています。

ーこの時間に投稿しようとか決めておられますか?

もう合間合間です。とくにTwitterに関してはネタが手に入れば、自宅でも投稿することができますし、Twitterってそのときどきでもトレンドが変わるじゃないですか。これが使えるなあと思ったときにやらないともったいないので。

テレビ番組で例えばNHKのクラシック音楽館で、今度来てくれるアーティストが出演していたら、今出演中とつぶやいたりとかはそのタイミングしかできないので。

日曜日の夜9時に放送されていまして、樫本大進さんという有名なバイオリニストが毎年「ル・ポン国際音楽祭」で姫路と赤穂に来てくれるんです。

出演されたら

と投稿しています。7月にNHK交響楽団が姫路市文化センターに来てくれるんですが、それも同じようにつぶやいています。

9時5時の仕事ととらえる方もいると思いますが、このあたりは担当者のやる気次第だと思います。

ー神戸新聞総合出版センターさんともコメントしあっておられますね。

神戸新聞総合出版センターさん、中の人が女性なんですけれど面白い人で、しゃべったり飲んだりするのでよくからんでいます。地域のほかの企業の人たちとからんだりしたら面白くなると思いますね。

企業タイアップのような大きなものではないですが、タニタとシャープがコラボしたような地域版とかあれば話題になるんじゃないかなと思いますね。

ソーシャルメディア運用後の質問

ー組織内の職員の反応はいかがでしょうか?

上司の反応は猫ツイート(のちほど詳しく明記)が大反響となったおかげか、組織内である一定の社会的地位のようなものを得た感覚はあります(笑) 基本的に内容についても任せていただいてますので、最低限のルール・マナーを守ったうえで、自由にツイートしています。

ー運用してみて困ったことはありますか?

SNS上で寄せられるコメントには、攻撃的なものが含まれる場合もあります。そういった場合はスルーやブロック等でかわすようにしていますが、一度ブロックした相手から直接電話が来たことがあります。その時は話し合いで何とか解決したのですが、、、わかりづらい文章は書かない方がいいと思いました。

ー逆にうれしかったことはありました?

やはり投稿した内容について、反応が良かったときはうれしいですね。チラシ・新聞広告と違って、アナリティクスを見ることで拡散数や、反応のあった数がきっちりと目に見えるので、モチベーションにつながります。

ソーシャルメディアを使ったからこそわかったこと

ーソーシャルメディアを使ってみて、うまくいった事例はありますか? また気づきがあれば。

正直な話、SNSでの広報にチケットの券売力はそこまでないと考えています。もちろん基本はイベントの案内が多いのですが、SNS上での露骨な商業宣伝は嫌われる傾向にあります。広報物(チラシや情報誌)、新聞広告、DM、ソーシャルメディア、それぞれが持っている特長を把握して、媒体ごとにその特徴を生かした使い方をすることが重要なのではないでしょうか。

ー猫ツイートの投稿後、何か変化はありましたか?

神戸新聞さんがほぼ半分、新聞の五段ぐらいのサイズでカラーで記事を出してくださりました。

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Tweetや新聞を見て、猫の写真を撮りに来られる方もいますね。

さいごに

ー「ファンづくりのイロハ」で取り上げてほしいテーマはありますか?

事業の連携、ではないですけど、ホール同士がソーシャルメディアでもつながりを持ち、広報の連携を取れたら面白いなーと考えたりしています。

ーFacebookで非公開グループページをつくっちゃいましょうか?

いいですねー!

(おわり)

新鮮だったのは、Nさんがかなり楽しんでソーシャルアカウントを活用されている様子だったということです。

地元のアカウントとつながりたい話の中では、僕のアイデアや姫路の知人の例を出したところ、ワクワクしておられるようでした。ソーシャルメディアを地元とのつながりに活かしていけば、大きなパブリック・リレーションが生まれると思いました。

追記。以前、大阪アーツカウンシルのサイトで執筆したこちらの記事で、当時灘区民センターのスタッフだった衣川さんがそれを実践されている様子が記載されています。コミュニティハブになるために行動されている様子を抜き出してみました。

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いずみホール主催のアートマネジメント講座で講師をさせていただきます。今回のテーマは「ファンづくりのイロハ」。7/22にお話しする資料をこちらにまとめています。
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