狩野は笑働OSAKAなど様々なプロジェクトに携わっていますが、関わるメンバーや組織が情報発信の重要性を理解しているか否かで広がるスピードが全然違うことを体感しています。自分がこれまで体感してきた経験値や憶測だけで書いてみます。
ひとつ目の壁:組織のミッションや強み・弱みを共有できていない
いろいろな組織を見て感じるのは、情報発信(広報)をする以前に、そもそも自分たちの組織のミッションや強み・弱みをスタッフ間で共有できていないことが多いと思います。共有できていない理由は、忙しいということを口実に、きちんとした話し合いやミーティングの機会を持たないということが中心です。
外に発信する作業は、内を見つめる作業と常に同時平行であることを、トップも担当者もその間の方も腹に落ちていないと、なんだか空回りしていきます。
ふたつ目の壁:組織内のひとりひとりの役割に無理がある
従来の組織の場合、営業部、総務部と役割がわけられていて、PRする部署が広報部で、新聞やテレビなど、従来のメディアにプレスリリースを投げるかたちになります。大企業であれば広告を出す宣伝部があります。
中小企業の場合は、1〜2名の方がPRを担当することになります。本来の仕事と兼任する方もいらっしゃると思います。でもソーシャルメディアへの告知に関しても組織内で同じように考えられるのか、割かれる人員は1〜2名で、「告知がんばってね〜」とひとりの肩に重くのしかかります。
みっつ目の壁:情報発信の効果が目で見えにくい
ソーシャルメディアとは人とのつながりから生まれるメディアなので、情報は生き物のようにfacebookやtwitter上を動き回ります。定着せずに漂流していきます。
どの川に情報を放流すればいいのか、どこにビオトープ(佐々木俊尚さん著「キュレーションの時代-「つながり」の情報革命が始まる-」は名著)が生息しているのかはわかりませんが、あらゆる方向に情報を投げてからフィードバックすれば、だいたいのことが見えてくると思います。
でもこれは骨が折れる作業。さらに効果があまり目に見えません。結果が出てからでしか評価が見えにくい仕事になります。わかりやすい評価がもらえる仕事を優先してしまうはずです。
うまくいっている組織と、うまくいっていない組織の差
うまくいってるところの多くは、実は携わるメンバーがほぼ全員情報発信しています。そうするとひとりひとりの負担が減る上に、大きな効果が目に見えてきます。シンプルに考えると、理想とする情報発信の方法は
・その指揮を情報発信担当者がする。
ということになります。しかしそれには弊害が結構たくさんあります。
情報発信をみんなでする弊害
・担当者がソーシャルメディアを知らない方、ついていけない方にわかるように説明しなければいけない。
・ついていけない方は重要事項と考えておらず、余計な仕事を増やしてほしくないという思いが先行して、さまざまなかたちで足を引っ張ろうとする。
・理解している上司は、PR担当者を手助けするとスキルが身に付かないと感じるのか、ひとりでどれだけできるのか試したがる。
・SNSのプライベート部分とパブリック部分を見せたくない方がいるので、オープンソースなのにオープンにならない。
・そもそも知らない人に話しかけることに慣れてない。
つまり、最初に書いた「組織のミッションや強み・弱みを共有できていない」をすっ飛ばして情報発信という目的だけ先行してはじめると、純粋に情報発信する仕事以外に余計な仕事が足を引っ張るのです。
シンプルに言うと、情報発信のベースは、組織力があるか、ないかにかかっています。
この弊害を乗り越える方法
このあたりのこと解消するためにレクチャーできる方法として、サロン文化大学で[無料のITサービスを使って情報発信力を高める30のヒント]という講座を実験的に用意してみました。
こういう主体的に参加してもらう講座を用意する狙いとしては、組織に出向いてレクチャーするのと、公開講座に出向いてもらって話するのとでは効果が違い、サロン文化大学に出向いてもらったほうが、ほかのお客様もいるので
・組織内の上下関係が関係なくなる。
・内輪の言葉が使えなくなる。使うと恥ずかしい。
・内輪の言葉を使わないようにすれば、他人軸で考える癖がつく。
と、このミッションを満たせるのではないかと思っています。それは試してみる価値があるかも、とお考えの方は日程のご相談をしてください。
それ以前に、ひとつ目の壁とふたつ目の壁を見て、「みんなはどう思う?」と意見交換を交わすだけで、少しは状況が変わるかもしれません。コツは上からモノを言うのではなくて、相談なんだけど…といっしょに考えてもらいたい、という態度で接するのが良いと思います。
だいぶ自分の頭の中でもゴチャゴチャしているのですが、わーっと書いてみて少し寝かせてみることにします。