2016年冬から大阪アーツカウンシルにアーツマネージャーという肩書きで関わらせてもらっています。統括責任者の佐藤千晴さんに誘われたのがきっかけです。
最初にヒアリングしたミッション
(1)インタビュー記事がほしい
(2)webを使いやすくしたい
ゆくゆくは交流の場をつくりたい、というお話も聞きました。以前、芸術文化育成事業で中之島のっとに関わり、webサイトをつくったこと、ライターとしての仕事を知ってくださっていたことでお声がけいただきました。
そして最初に着手したのは以下の3つです。
(1)インタビュー記事
→ 4000文字前後のレポート記事執筆
(2)webを使いやすく
→ Movable TypeからWordPressへチェンジ
(3)交流の場づくり
→ 月イチトークイベント #あつかん談話室
(1)の記事執筆、(2)のweb制作、(3)のテーマ型コミュニティの形成はそれぞれ別々に頼まれることが多いですが、全部同じタイミングで取り組める機会と考えてチャレンジしました。
関わったからこそ見えてきた課題
1年契約のプロジェクトは契約終了後にサイトごと消える問題
(a)前述の「中之島のっと」のwebサイトは残念ながら契約期間終了とともに消えていたことが残念でしたが、いろいろヒアリングしてみると、大阪アーツカウンシルのサブドメインを活用する方法を関わるどなたもご存知ないことがわかりました。
発注側に知識がなく、受注側は知識をもっていても契約期間だけの仕事という枠組みのため、どちらにもメリットがないまま消えていくことがわかりました。これに関しては以降、仕様書に盛り込んでもらえるよう働きかけています。
過去に大阪府、大阪市が取り組んできた事業をwebでわかりやすく俯瞰できるものがない問題
(b)過去に大阪府、大阪市が取り組んできた事業をwebでわかりやすく俯瞰できるものがないことに気づきました。(b)がない理由は(a)の延長ですが、そもそもルールがないので自分で実例をつくろうと、以下のことに取り組みました。
取り組んだこと
サブドメインの活用
本来であれば1年後に消えていくサイトをサブドメインに格納しました。
社会のためのアートを知ろう,文化自由都市、大阪
OSAKA CREATIVE ARCHIPELAGO | オオサカ・クリエイティブ・アーキペラゴ
サーバーなど、いま手元にあるリソースを活用できるように+取り組んだことが引き継がれるようにGoogleドキュメントでマニュアルをつくっています。うまくいったこと、失敗したことを共有しています。
「どういう手順ですすめるか」だけでなく「何のためにするか」もGoogleドキュメントで更新かつ共有し、iPhoneアプリのバージョンアップのように、随時バージョンアップさせています。
書類の見える化
倉庫に置かれた過去の資産をデジタル化して、すぐに閲覧できるように表に出しました。
また、(1)(3)に取り組んだことで、文化芸術に関わる人たちは極端に情報発信が弱いことがわかりました。伝統芸能などは情報の非対称性が高い世界なので、そもそも伝えることが難しい分野です。そこでソーシャルメディアを活用した広報講座を何度かやらせていただきました。

参加されていた芸創館の館長重田さんから、うちのホールでもレクチャーしてほしいとご依頼いただきました。

数字でわかる変化
2016/10/14のTwitterアカウントのフォロワーは26人でしたが、2018/03/15現在は236人です。
2016/09/01のFacebookページのフォロワーは702人でしたが、2018/03/15現在は912人です。
公式サイトのページビューは2016年に比べて現在だいたい3倍です。
まとめ
ライターとしての実績を積みたいだけであれば(1)だけをやっていればわかりやすいのですが、大阪アーツカウンシルのミッションを考えると(1)だけでなく、(3)をドライブさせていくこと(コンテンツ×コミュニティ)のほうが大事だと狩野は考えます。
コンテンツ×コミュニティ=メディアという考えはこちらに書いています。

また、公務員の人事異動で担当者が変わると思いが引き継がれない仕組みも問題なので、マニュアルには「思い」を込めた記述も盛り込んでいます。この振り返りもまた、その思いのひとつです。
上記の話題に関心のある方には、以下のふたつの執筆記事も興味があると思います。
